以下はプリンスおよびプリモージェンからの言葉である。プラハの血族よ、いわゆる「レッドガス」を取り巻く噂は真実だ。警告を行うため、また支援を求めるためこの手紙は送られている。内容を記憶した後、例外なく破棄してほしい。
第一に、レッドガスは怒りを、そして(最終的には)永遠の滅びを血族にもたらすことになる。その確実さは太陽そのものに匹敵するほどだ。
第二に、レッドガスは生者に対しては無害であることから、血族が集団であぶり出され、人間の間に紛れ込むことを不可能にしてしまう可能性がある。
第三に、我々の街が攻撃された場合、おそらくレッドガスが使用されることになるだろう。以上が、我々すべてがレッドガスについて知っておかなければならない理由である。
以下はこれまでに私が収集した残りの(確定していない)見解および仮説である。
匂い:レッドガス使用の現場にいた者は、これにビャクダンおよびミルラの香りがすると報告している。オムニスによれば、ミルラはガソリンと焼けたゴムの匂いがするそうだ。化学兵器の持つ臭気として特殊なものではない。
声:レッドガスによる攻撃を受けた者の大多数が、ガスに囲まれたときに声が聞こえたと報告している。叛徒コクラの最後の言葉は以下のように記録されている。「…ついに、彼らが皆やって来た。私が血を吸った者、私の犠牲者たちが…」
過去の審問での使用:今は失ってしまったウィーンの拠点に対するドローン攻撃に居合わせた者たちは次のように述べている。「赤い雨と煙が兵器からしたたり落ち、冷たい肉を骨から溶かしていった」教会とその協力者たちがすでに10年前からレッドガスの使用を試していた可能性がある。
追い込み:レッドガスは、血族を街のさらに限られたエリアに追い込むために使われる場合が多い。そうして秘密工作員たちにより容易に奇襲されてしまうというわけだ。これは、第二審問の協力者たちがレッドガスの制御と拡散を思いどおりに行えることを示唆している。ただし、風と街の特性によりガスの拡散が予測不可能かつ不均等になることは大いに考えられる。
キーニング:アッシラの同胞たちによれば、レッドガスの効果は、アッシラにある古代の聖地に近づいたときに経験される恐ろしい「キーニング」に酷似しているそうだ。この現象は当地にいるアッシラの血族を信仰に関係なく蝕んだが、オムニスの言に従えばその効果は軽減可能だ。
以上が、我々が入手できた情報のすべてである。
我、プラハのプリンス、マーカスは、ここに諸君らの誓いを求める。気体または(可能であれば)液体状のレッドガスに関するあらゆる発見および目撃の情報を提供し、観察された効果および使用内容について報告せよ。この煙霧は呪われしもの、団結を要する脅威である。敵である叛徒も歓迎しよう。場所を問わず血族を襲うこの新たな脅威についての実用的な知識をもたらす者には危害を加えることはない。
自らが理解し得ぬもの、これを人間は滅ぼさんと欲する。そして、人間が我らを理解する日はやってこない。
マーカス
プラハのプリンス